反響音の悪影響と反響音対策
反響音の悪影響と反響音対策
「反響音」とはその名の通り、反響している音なのだが、ここでは反響音がなぜ起こるのかを簡単に解説します。
反響音はなぜ起こる?
耳に聞こえている音は大きく2つに分けることができる。一つは空気音、もう一つは固体音。反響音はその中の空気音によって引き起こされます。空気音とは、その名の通り空気を伝わって聞こえる音で、人間の声やスピーカーから発せられる音も空気音となります。一般的に空気音は1秒間で約340m進み、距離とともにその強さが減衰します。そう音は1秒間で約340mも進みます。
音は1秒間に約340m進む、例えば壁から壁までが10mであり、その端から音が発せられた場合、反対の壁まで10m、返ってくるまでに10mとなり往復20mとなります。340÷20をすると、なんとこの部屋では17回も音が往復している訳です。実際には距離とともに音の強さが減衰しているため、はっきりと聞こえる音が反響している訳では無いので、それを聞いている人間が混乱することはありませんが、この音が往復している現象が「反響音」なのです。もちろん音は真っすぐにのみ進むわけでは無く、全方向に空気音として伝わるので、あくまで極端なイメージです。
反響音が起る空間
この反響音が起こり易いか、起こり難いかを決めるのは音が発生する空間がどのような場所なのかが一番重要になります。例えば、なにもない草原でいくら手を叩いても、声を出しても反響音は起きません。反響音が起こる要素として必ずあるのが、反射する面(床・壁・天井)があること。発せられた音が反射面にぶつかって返ってくるのが、反響音ですので、そもそもの反射面が無ければ反響音も起きないのです。
では実際に「反響音」が起こりやすい空間とはどのような空間なのか、イメージし易いのはトンネルの中やお風呂場の中であろう。トンネルの中で手を叩くと「パァァァ~ン」と響きが残る。またお風呂場で歌を歌うとエコーがかかったように聞こえる。これはトンネルやお風呂場の床、壁、天井に音が反響し、過度な反響音が生じている。では反響音が生じている空間はトンネルやお風呂場の中だけなのだろうか。実は気付かないだけで反響音が残っている空間は意外と多い。ちなみに有名な日光東照宮の鳴き竜も反響音が引き起こす現象である。
室内の過度な反響音が引き起こす様々な悪影響
室内の様々な場面で引き起こされる反響音による悪影響を具体的に解説します。また、各場面において弊社が行った対策事例もご紹介いたします。
1.オフィス
過度な反響音がある空間で仕事をしていると、電話の音、OA機器の音など様々な音によるストレスによって集中力の低下し、結果的に仕事効率の低下を引き起こします。社員の仕事の効率が悪くなるということは、会社にとっては死活問題です。
また、打合せなどの場合、過度な反響音によって声の明瞭度が下がるので、コミュニケーションにも悪影響を及ぼします。音に対して対処がされていない空間は音漏れの問題も重要です。音漏れによってプライバシー情報や社内情報の流出が危惧されます。
仕事空間の環境改善の意識は国内企業でも高まっているが、「音」環境についてはまだまだ意識が低いのが現状です。色々な環境改善があると思うが、仕事の効率に直結した音環境にもっと意識を高めた方がいいのではないでしょうか。
ではオフィス内の音環境を良くするとどのような効果があるのか、さらに掘り下げてみましょう。
まず会議室や打合せスペースの場合、会話の明瞭度が上がり、コミュニケーションがし易い環境が生まれ、それにより仕事の効率が上がります。打合せスペースでの会話の漏れも少なくなり、情報漏えい対策にもなります。
また日々鳴り続けているOA機器や電話の音からの音ストレスも低減されます。仕事環境で音がでない空間はまず無いですが、過度な反響音を低減することにより、快適な仕事空間が生まれます。例えばちょっと休憩したい時に周りの雑踏が聞こえないちょっとした吸音スペースがあれば心を落ち着かせるにはちょうどいい空間になります。
オフィスでの反響音対策事例
オフィスでの反響音対策事例をご紹介します。オフィス内は過度に音を反響させる素材が多い(鋼製家具、パーテーション、ガラスなど)ので、打合せスペースの間仕切りや室内に吸音製品を増やすことで解決を目指します。
2.保育園・幼稚園
過度な反響音がある空間で保育をしていると、合唱の時間や自由時間など必要以上の音圧が園児や保育士の耳にかかり、耳への負担となります。音環境が悪い空間で長時間の保育をしていると、最悪の場合、保育士のノイローゼや園児の難聴予備群の原因にもなりかねません。また、反響音が過度な空間とそうでは無い空間では保育士の指示が園児たちに伝わる時間にも影響を及ぼします。
子供の発達に関して「音」というのはとても重要だと考えるが、現在の保育園・幼稚園の音環境はお世辞にも良いとは言えません。また保育園や幼稚園を運営している会社自体も音に関しての知識が乏しいです。目に見えないからこそ「音」環境についてもっと意識を持って保育に取り組んで頂きたいものです。
では保育園・幼稚園内の音環境を良くするとどのような効果があるのか、さらに掘り下げてみましょう。
保育室内の過度な反響音が低減することにより、保育士や園児たちが日々聞いている音ストレスが低減します。特に保育士は1日7、8時間以上も園児の高い声の中仕事をしているため、耳にかかる負担はかなりのものです。それらを低減することによって音ストレスからくるノイローゼや難聴も防ぐことができます。
また過度な反響音があると声の明瞭度が下がるため、保育士から園児たちへの指示が届きにくくなります。例えば地震や火事などが発生した時に避難する呼びかけが伝達されず逃げるのが遅くなるという可能性も生まれてきます。
教育現場での反響音対策事例
教育現場での反響音対策事例をご紹介します。教室内は過度に音を反響させる素材が多いですが、それに負けない吸音力を発揮し、ご満足いただいております。
3.教育現場
過度な反響音がある教室で授業を受けていると、生徒が授業を受けていても先生の声が聞き取れない状況を引き起こします。一番前の席と一番後ろの席とでは先生の声の聞こえ方はもちろん違ってきます。一番後ろの席で授業を受けていたとしても、反響音によって先生の声の明瞭度が下がり、しっかりと聞き取れていないかもしれません。授業を受けていても先生の声が正確に聞こえないのでは授業に出ていないのと同じです。
教教育現場の「音」環境はなかなか良い方向には進んではいません。保育園・幼稚園同様運営側の音に関しての知識が乏しいのと、「音」環境を考慮した建物ではないのもその原因のひとつです。「音」環境についてもっと意識を持って教育に取り組んで頂きたいものです。
では教育現場内の音環境を良くするとどのような効果があるのか、さらに掘り下げてみましょう。
教室での過度な反響音を低減することにより、先生からの声が聞こえ易くなります。聞き取り易い環境を作ることにより授業への集中力も増していきます。また英語など外国語の授業の場合は細かい発音がより聞き取り易くなる効果もあります。
例えば英語のリスニングの授業や試験などでは聞き取り易い環境を整えることにより、生徒の学ぶ力も変わってくるのではないでしょうか。
4.飲食店
飲食店は騒がしい方が賑わっている感じがして良いと思うかもしれませんが、目の前の人と話すのにわざわざ大きな声をあげて話をしなければならない空間というのはやはり普通ではないと感じます。当たり前のように感じている居酒屋などのざわざわした雰囲気は実は音が反響し過ぎている影響もあるのです。
過度に反響音がしているお店ではお客様の注文も聞き取れないし、会話も楽しめない。そもそも居心地自体がよろしく無い。居心地が良くなければリピーターも増えないでしょう。 そういった点からも飲食店での音への配慮というのはした方が良いでしょう。
室内の過度な反響音を低減させることにより、音の定位が上がります。さらに過度な反響音でかき消されていた繊細な音が聞こえるようになり、今まで聞いていた音とは違った音が聞こえてきます。また高音域を吸音することにより、低音が前に出てくる印象にもなります。
しかし、実際の飲食店はと言えば反響音がし放題、壁を無くしたオープンな作りをするので他からの音が入り放題と決して音環境が良いとは言えません。
居心地の良い空間を提供する飲食店であれば音環境にも配慮した店舗造りが必要では無いでしょうか。
飲食店・店舗での反響音対策事例
麻布郡司さま
詳細はこちら5.音響
過度な反響音がある空間でオーディオなどを聞いていると、実際のスピーカーから出ている音とは違ったように聞こえてしまいます。それは過度な反響音がスピーカーから出た音と重なり、それがノイズとなって聞こえてしまうからです。特に狭い空間ではしっかりと反響音対策をしないと、どんなに良い音響設備を整えたとしても残念なことになってしまうかも知れません。
では音響の側面から音環境を良くするとどのような効果があるのか、さらに掘り下げてみましょう。
室内の過度な反響音を低減させることにより、音の定位が上がります。さらに過度な反響音でかき消されていた繊細な音が聞こえるようになり、今まで聞いていた音とは違った音が聞こえてきます。また高音域を吸音することにより、低音が前に出てくる印象にもなります。
しかし、音響の場合は吸音し過ぎても宜しくないので、バランスが重要です。
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