法規の知識

労働安全衛生法について

労働安全衛生とは

労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。(労働安全衛生法 第一章 第一条)とあります。労働者の安全や作業環境の向上のため基準を設け、その基準を企業側に順守させる法律となります。ここでは主に騒音に関連した内容に添って解説します。

騒音作業・作業環境測定の種類

騒音作業には屋内作業と屋外作業の2種類に分けられ、それぞれ労働安全衛生法の規定による作業環境測定の方法が違います。屋内作業は騒音発生源が機械など固定されている場合が多く、その騒音発生源を中心に一定の距離を置いて測定するA測定と騒音発生源に近接したB測定の2種類があります。屋外作業の場合はB測定のみとなります。
また騒音レベルの評価については瞬間最大値を測定するのでは無く、一定時間の平均値を使用します。

作業環境測定の評価

屋内作業の場合、A測定、B測定(測定した場合)で出た数値により以下の3種類に分けられ、各管理区分によって対応措置が違ってきます。

  B測定平均値
85dB未満 85dB以上 90dB以上
90dB未満
A測定平均値 85dB未満 第1管理区分 第2管理区分 第3管理区分
85dB以上 第2管理区分 第2管理区分 第3管理区分
90dB未満
90dB以上 第3管理区分 第3管理区分 第3管理区分

【第1管理区分】

  • 作業環境の継続維持に努めること
【第2管理区分】
  • 場所を標識により明示すること
  • 作業方法の改善等により管理区分1となるよう努めること
  • 保護具を使用すること
【第3管理区分】
  • 場所を標識により明示し、保護具使用の掲示を行うこと
  • 作業環境の改善等により管理区分1又は管理区分2となるようにすること
  • 保護具を使用すること
屋外作業の場合は測定結果が85dB以上の場合には聴覚保護具を使用すること。90dB以上の場合には聴覚保護具を使用するとともに作業の見直しも検討します。

保護具いろいろ

聴覚保護具といっても耳栓タイプや耳を覆うタイプと種類があります。一般的なものはウレタンフォームなどから作られる耳栓があります。ウレタンフォームのものは耳に挿入する前に潰して入れると耳の中でウレタンが戻るので遮音性も高くなります。プラスチックなどの樹脂成形されている耳栓では遮音性は落ちますが、洗えて繰り返し使用できるメリットがあります。耳栓タイプは長時間使用していると圧迫感を不快に感じたりするものが多いですが、弊社HPで紹介しているエアトース(耳栓タイプ)では一定の遮音効果を保ちつつ、通気性があるため長時間の使用にも不快に感じ難いものもあります。 またイヤーマフの様に耳全体を覆うものもあり、ノイズキャンセリング機能が付いたイヤーマフもあります。

騒音環境いろいろ

労働安全衛生法で示している騒音環境は機械騒音や工事騒音などを想定していますが、第2管理区分である85dB以上、90dB未満、第3管理区分である90dB以上の騒音が発生している環境はそれ以外でも多い。ライブ会場や保育園・幼稚園内も騒音レベルでいうと上記基準を超える場合もあります。ライブ会場では長時間高い騒音レベルに晒されるため、ライブ用の耳栓なども販売されています。保育園・幼稚園でもピアノを弾いての合唱時などではかなり高い騒音レベルとなっている場合もあります。保育園・幼稚園では園児や保育士さんに耳栓をさせる訳にはいかないので、室内の音の反響具合を調整して騒音レベルを下げる、耳への負担を減らすなどが必要となります。保育環境では7~8時間保育をする前と後で聴力検査をすると聴力レベルが下がったという研究結果もあり、園児や保育士さんへの影響が危惧されています。 耳の機能は一度悪くなってしまうと元に戻ることはありません。また徐々に機能が低下していくため、自分自身でも気づかないまま進行してしまう恐れがあります。日頃から騒音環境での作業をされている方は気を付けて頂ければと思います。

導入前に吸音パネル
設置の効果が分かる!